声優の津田健次郎さんの訴訟で、
判決が出たと聞いて気になった方も多いですよね。
結論から言うと、
東京地裁は「声もパブリシティー権の保護対象」と
初めて判断しました。
ただし、動画の削除を求めた請求そのものは
棄却されています。
勝ったのか負けたのか分かりにくい判決なので、
報道で確認できる内容を整理します。
判決の理由と、
請求が退けられた理由を分けて解説します。
この記事で分かること
- 声がパブリシティー権の保護対象と判断された点
- 津田健次郎さんの請求が棄却された理由
- 訴訟の対象になった動画の本数と期間
- パブリシティー権とは何か
- 今回の判決で分かること・分からないこと
判決の結論は「声も保護対象」だが削除請求は棄却
訴訟の発端は、生成AIを使って
津田さんの声が無断で模倣されたとして、
TikTokの運営会社に動画の削除を求めたことです。
判決は2026年9月30日、東京地裁で言い渡され、
高橋彩裁判長が判断を示しました。
判決のポイントは2つあります。
1つ目は、著名人が自分の名前や肖像から生じる
商業的な価値を独占できる「パブリシティー権」の
保護対象に、人の声も含まれるという初判断です。
2つ目は、削除を求めた請求は
棄却されたという点です。
| 論点 | 裁判所の判断(報道ベース) |
|---|---|
| 声はパブリシティー権の対象か | 保護対象に含まれるとの初判断 |
| 削除請求 | 棄却 |
| 棄却の理由 | 対象の動画が審理中に投稿アカウントごと削除済みだったため |
| TikTok側の削除義務 | 現在も動画を削除する義務があるとは認められない |
なぜ削除請求は棄却されたのか
報道によると、津田さん側が削除を求めていた動画は、
審理が続いている間に
投稿したアカウントとともにすでに削除されていました。
そのため東京地裁は、
TikTok側に現在も動画を削除する義務があるとは
認められないとして、請求を棄却しました。
ポイント:声の権利は認められたが、動画がすでに消えていたため削除を命じる必要がなかった、という構図です。
つまり、声のパブリシティー権が
否定されたわけではありません。
判断の中身と結論が分かれている点が、
この判決を分かりにくくしています。
訴訟の対象になった動画の内容
判決によると、2024年7月から2025年9月にかけて、
都市伝説などを扱うナレーション付きの動画が
特定のアカウントから188本投稿されていました。
これらが、津田さんの声を
生成AIで模倣したものだったとされています。
- 投稿期間:2024年7月〜2025年9月
- 本数:188本
- 内容:都市伝説などを扱うナレーション付き動画
- 投稿先:TikTok(特定のアカウント)
パブリシティー権とは?声はどう位置づけられたか
パブリシティー権とは、
著名人が自分の名前や肖像から生じる
商業的な価値を、独占的に使える権利のことです。
人の声がこの権利の対象になるかどうかは、
これまで司法判断が示されていませんでした。
東京地裁は判決で、人の声について
「肖像と同様に個人の人格の象徴」と指摘しました。
そのうえで、声が商品の販売などを促す
顧客吸引力を持ち、
もっぱらその顧客吸引力を利用する目的で使われた場合、
パブリシティー権の侵害になり得るとしています。
「パブリシティー権」と似た言葉の違い
パブリシティー権は、
名前や肖像などが持つ商業的な価値を
守る考え方です。
今回の判決で示されたのは、
その対象に「声」も含まれるという点でした。
判決が挙げた判断の軸は、
次の2つに整理できます。
- 声が商品の販売などを促す顧客吸引力を持っているか
- その顧客吸引力を、もっぱら利用する目的で使われたか
報道されている範囲では、
この2点がそろった場合に
侵害になり得るという整理です。
個別の動画が侵害にあたるかどうかは、
内容や目的によって判断が分かれると考えられます。
【考察】今回の判決が持つ意味を予想
ここからは編集部の考察(予想)です。
この判決は、声を扱う仕事全体にとって一つの目安になるのではないでしょうか。
そう予想する理由は2つあります。
1つ目は、声について初めて
パブリシティー権の保護対象と示された点です。
これまで基準がなかった分野に、
判断の手がかりができたことになります。
2つ目は、判断の基準が
「顧客吸引力を利用する目的か」と示された点です。
生成AIによる声の模倣が増えるなかで、
どんな使い方が問題になり得るのかを
考えるときの軸になると考えられます。
出典:時事ドットコム、KAI-YOU
これは編集部の予想です。
今回は削除請求が棄却されており、
今後の控訴の有無や別の裁判の判断によって、
見え方が変わる可能性もあります。
訴訟の流れを時系列で整理
報道で確認できる範囲で、
流れを時系列にまとめます。
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 2024年7月〜2025年9月 | 特定のアカウントから、声を模倣したとされる動画が188本投稿された |
| 審理中 | 対象の動画が投稿アカウントごと削除された |
| 2026年9月30日 | 東京地裁が判決。声もパブリシティー権の保護対象と初判断、削除請求は棄却 |
津田さん側は、TikTokの運営会社を相手に
動画の削除を求めていました。
投稿した本人ではなく、
プラットフォームの運営会社が相手だった点も
この訴訟の特徴です。
ファンや視聴者が気をつけたいこと
生成AIで作られた声は、
本人の声と聞き分けにくい場合があります。
動画の説明欄やアカウント情報を確認し、
公式の発信かどうかを見る習慣が
大切になってきます。
今回の判決は、
声が「個人の人格の象徴」として
扱われうることを示しました。
本人の声に似せたコンテンツを見かけたときは、
公式のものかどうかを
いったん立ち止まって確かめたいところです。
現時点で分からないこと
- 津田健次郎さん側が控訴するかどうか(今回の報道では確認できませんでした)
- 生成AIによる声の模倣が、どのような場合に侵害と認められるかの詳しい線引き
- 他の声優・著名人の訴訟への影響
これらは、報道や関係者の発表で
続報が出るまで断定できません。
よくある疑問Q&A
Q. 津田健次郎さんは勝訴したのですか?
A. 削除請求は棄却されたため、
請求の結果としては認められていません。
ただし声がパブリシティー権の保護対象とされた
初判断は示されています。
Q. 声を真似すると違法になりますか?
A. 今回の判決は、顧客吸引力を
もっぱら利用する目的で使われた場合に
侵害になり得るとしています。
すべての模倣が違法になるとは示されていません。
Q. 棄却されたなら、判断に意味はないのですか?
A. 結論の請求は退けられましたが、
声が保護対象になり得るという判断は
判決の理由として示されたと報じられています。
Q. 動画は今も見られますか?
A. 報道では、対象の動画は審理中に
投稿アカウントごと削除されたとされています。
まとめ
- 2026年9月30日、東京地裁が声もパブリシティー権の保護対象と初判断
- 削除請求は、動画が審理中に削除済みだったため棄却
- 対象は2024年7月〜2025年9月の動画188本
- 侵害になり得るのは顧客吸引力を利用する目的の場合
生成AIと声の権利をめぐる、
初めての司法判断として注目される内容です。
続報は各報道機関の発表で確認してください。
参考:時事ドットコム/日本経済新聞/KAI-YOU/弁護士ドットコムニュース(Yahoo!ニュース)

コメント